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第9回土木工事雑学講座

皆さんこんにちは!



株式会社酒井建設、更新担当の中西です。

 

 

さて今回は

~設計~

ということで、今回は、土木造成工事における設計について、基礎から実務、最新動向までを深く解説します♪


山林や田畑、傾斜地、空き地などを、宅地や建設用地へと整備する造成工事。
その土台をつくるのが、「造成設計」という重要な業務です。


造成設計は、ただ土地を平らにするのではなく、





  • 地盤の安全性を確保し、




  • 建物が建てやすい地形にし、




  • 排水・道路・法面などを計画し、




  • 各種法律に適合させる




という多面的な思考と高度な専門知識が求められる業務です。







造成設計とは?──土地を「使える形」に変える技術





造成設計とは、自然のままの地形や未整備の土地を、安全かつ機能的な開発用地に整備するための設計業務です。


主な内容には以下のような要素が含まれます





  • 土の切盛計画(切土・盛土・転圧)




  • 擁壁・法面・排水施設の設計




  • 道路や歩道、インフラ(上下水道・電気・ガス)の敷設計画




  • 土地の区画割り、造成後の宅地利用に応じた整地計画




  • 都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法などへの法的適合




📌 「土地の骨格をつくる設計」=造成設計
その設計次第で、土地の価値と将来の安全が決まります。







造成設計の流れと各ステップの目的






✅ ① 現地調査・測量・地盤調査




  • 地形図作成(1/500~1/1000)・標高・傾斜の確認




  • 地盤ボーリング・表層地盤調査による支持力・地質・地下水位の把握




  • 既存道路・水路・インフラとの接続条件の確認




📍 正確な「現況把握」がなければ、設計のすべてが崩れます。







✅ ② 切土・盛土の土量計算と計画




  • 土地全体の高低差を調整し、搬出入土量の最小化(バランス設計)




  • 転圧方法・層厚・施工機械選定の検討




  • 傾斜地では法面角度(一般に1:1.5~1:2)と安定計算を実施




🛠️ 無駄な掘削・埋め立てを減らすことで、コスト削減と環境配慮が両立します。







✅ ③ 擁壁・法面・構造物の設計




  • 高低差がある場所にはL型擁壁・逆T型擁壁・重力式擁壁などを計画




  • 土圧・水圧・地震力を考慮した構造計算と断面設計




  • 法面には植生マットやコンクリート吹付け、のり枠工などの表面処理を計画




📐 擁壁の高さが2mを超える場合、確認申請または建築確認対象となるため設計は厳密に。







✅ ④ 排水・雨水処理計画




  • 敷地内の集水計画(U字溝、側溝、集水桝)




  • 公共下水道や水路への放流計画




  • 豪雨時の浸水対策(調整池・雨水貯留施設など)




💧 雨水が流れず、水が溜まる土地=不良地
「水をどう逃がすか」が造成設計の成否を分けます。







✅ ⑤ 道路設計・区画計画




  • 建築基準法に基づく幅員4m以上の道路接道計画




  • 勾配・カーブ半径・縁石・歩道・交差点設計




  • 車の進入・転回スペース(特に袋地・行き止まり地)の確保




🚗 車社会において、道路の設計=生活のしやすさと資産価値を決定する要素です。







✅ ⑥ インフラ設備の引込・敷設計画




  • 上下水道・電気・ガス・通信の引込経路




  • 既存インフラとの接続の可否、敷地内ルートと埋設深さの確認




  • インフラ工事に必要な事前協議・行政との申請手続き




📎 インフラ設計は、住環境の“見えない快適さ”を設計する仕事です。







造成設計で注意すべきリスクと対策






⚠️ 違法造成や申請ミスによる工事中断




  • 宅地造成等規制区域内での無許可工事は違法




  • 都市計画法の開発許可(500㎡以上)申請漏れ




  • 環境影響評価や文化財調査の必要性確認忘れ




✅ 解決策:行政との事前協議・開発許可申請書のチェックリスト化







⚠️ 地盤沈下・崩壊の危険性




  • 盛土不良・排水不良・転圧不足による不同沈下




  • 豪雨や地震時の法面崩壊




✅ 解決策:施工段階での品質管理指示書と地盤安定計算の徹底







⚠️ 近隣クレーム(排水・騒音・振動・越境)




  • 雨水排水の逆流・浸水クレーム




  • 擁壁や境界杭の位置ズレ




✅ 解決策:隣地境界の測量精度向上・工事前の近隣説明会の開催







これからの造成設計に求められる視点






◆ 環境配慮・グリーンインフラの導入




  • 雨水を地中に浸透させる透水性舗装・浸透枡の採用




  • 造成地内に緑地帯やビオトープを計画




  • 土壌改良による植生回復とヒートアイランド対策




🌿 “環境にやさしい設計”が選ばれる時代になっています。







◆ BIM・CIMによる3D設計の導入




  • 設計と施工の情報を3Dモデルで一元管理




  • 干渉チェック・土量自動算出・ビジュアル共有によるミス削減




  • 発注者や住民への説明がしやすくなる




💡 造成設計にも「図面からデータへ」の時代が到来しています。







◆ AI・シミュレーションによる設計支援




  • 地盤条件や土地形状に応じた最適な造成パターンを自動提案




  • 大雨・地震時のシミュレーションで安全性を可視化




  • コスト・工期・環境影響をAIが分析




📊 将来的には、「最適な設計をAIと人が共同でつくる時代」も現実になるでしょう。







造成設計は「土地の未来を設計する」仕事


造成設計は、ただの土工計画ではありません。
それは「土地に命を与え、価値を生み、未来を支えるインフラを創る設計」なのです。





  • 地盤を読む力




  • 法律を理解する知識




  • 地域と暮らしを考える想像力




  • 施工との連携を前提とした設計力




この4つを兼ね備えた造成設計こそが、
安全・快適・持続可能なまちづくりの土台となるのです。






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