株式会社酒井建設、更新担当の中西です。
さて今回は
~設計~
ということで、今回は、土木造成工事における設計について、基礎から実務、最新動向までを深く解説します♪
山林や田畑、傾斜地、空き地などを、宅地や建設用地へと整備する造成工事。
その土台をつくるのが、「造成設計」という重要な業務です。
造成設計は、ただ土地を平らにするのではなく、
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地盤の安全性を確保し、
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建物が建てやすい地形にし、
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排水・道路・法面などを計画し、
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各種法律に適合させる
という多面的な思考と高度な専門知識が求められる業務です。
造成設計とは?──土地を「使える形」に変える技術
造成設計とは、自然のままの地形や未整備の土地を、安全かつ機能的な開発用地に整備するための設計業務です。
主な内容には以下のような要素が含まれます
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土の切盛計画(切土・盛土・転圧)
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擁壁・法面・排水施設の設計
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道路や歩道、インフラ(上下水道・電気・ガス)の敷設計画
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土地の区画割り、造成後の宅地利用に応じた整地計画
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都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法などへの法的適合
📌 「土地の骨格をつくる設計」=造成設計。
その設計次第で、土地の価値と将来の安全が決まります。
造成設計の流れと各ステップの目的
✅ ① 現地調査・測量・地盤調査
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地形図作成(1/500~1/1000)・標高・傾斜の確認
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地盤ボーリング・表層地盤調査による支持力・地質・地下水位の把握
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既存道路・水路・インフラとの接続条件の確認
📍 正確な「現況把握」がなければ、設計のすべてが崩れます。
✅ ② 切土・盛土の土量計算と計画
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土地全体の高低差を調整し、搬出入土量の最小化(バランス設計)
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転圧方法・層厚・施工機械選定の検討
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傾斜地では法面角度(一般に1:1.5~1:2)と安定計算を実施
🛠️ 無駄な掘削・埋め立てを減らすことで、コスト削減と環境配慮が両立します。
✅ ③ 擁壁・法面・構造物の設計
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高低差がある場所にはL型擁壁・逆T型擁壁・重力式擁壁などを計画
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土圧・水圧・地震力を考慮した構造計算と断面設計
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法面には植生マットやコンクリート吹付け、のり枠工などの表面処理を計画
📐 擁壁の高さが2mを超える場合、確認申請または建築確認対象となるため設計は厳密に。
✅ ④ 排水・雨水処理計画
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敷地内の集水計画(U字溝、側溝、集水桝)
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公共下水道や水路への放流計画
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豪雨時の浸水対策(調整池・雨水貯留施設など)
💧 雨水が流れず、水が溜まる土地=不良地。
「水をどう逃がすか」が造成設計の成否を分けます。
✅ ⑤ 道路設計・区画計画
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建築基準法に基づく幅員4m以上の道路接道計画
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勾配・カーブ半径・縁石・歩道・交差点設計
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車の進入・転回スペース(特に袋地・行き止まり地)の確保
🚗 車社会において、道路の設計=生活のしやすさと資産価値を決定する要素です。
✅ ⑥ インフラ設備の引込・敷設計画
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上下水道・電気・ガス・通信の引込経路
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既存インフラとの接続の可否、敷地内ルートと埋設深さの確認
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インフラ工事に必要な事前協議・行政との申請手続き
📎 インフラ設計は、住環境の“見えない快適さ”を設計する仕事です。
造成設計で注意すべきリスクと対策
⚠️ 違法造成や申請ミスによる工事中断
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宅地造成等規制区域内での無許可工事は違法
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都市計画法の開発許可(500㎡以上)申請漏れ
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環境影響評価や文化財調査の必要性確認忘れ
✅ 解決策:行政との事前協議・開発許可申請書のチェックリスト化
⚠️ 地盤沈下・崩壊の危険性
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盛土不良・排水不良・転圧不足による不同沈下
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豪雨や地震時の法面崩壊
✅ 解決策:施工段階での品質管理指示書と地盤安定計算の徹底
⚠️ 近隣クレーム(排水・騒音・振動・越境)
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雨水排水の逆流・浸水クレーム
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擁壁や境界杭の位置ズレ
✅ 解決策:隣地境界の測量精度向上・工事前の近隣説明会の開催
これからの造成設計に求められる視点
◆ 環境配慮・グリーンインフラの導入
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雨水を地中に浸透させる透水性舗装・浸透枡の採用
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造成地内に緑地帯やビオトープを計画
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土壌改良による植生回復とヒートアイランド対策
🌿 “環境にやさしい設計”が選ばれる時代になっています。
◆ BIM・CIMによる3D設計の導入
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設計と施工の情報を3Dモデルで一元管理
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干渉チェック・土量自動算出・ビジュアル共有によるミス削減
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発注者や住民への説明がしやすくなる
💡 造成設計にも「図面からデータへ」の時代が到来しています。
◆ AI・シミュレーションによる設計支援
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地盤条件や土地形状に応じた最適な造成パターンを自動提案
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大雨・地震時のシミュレーションで安全性を可視化
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コスト・工期・環境影響をAIが分析
📊 将来的には、「最適な設計をAIと人が共同でつくる時代」も現実になるでしょう。
造成設計は「土地の未来を設計する」仕事
造成設計は、ただの土工計画ではありません。
それは「土地に命を与え、価値を生み、未来を支えるインフラを創る設計」なのです。
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地盤を読む力
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法律を理解する知識
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地域と暮らしを考える想像力
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施工との連携を前提とした設計力
この4つを兼ね備えた造成設計こそが、
安全・快適・持続可能なまちづくりの土台となるのです。
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